オンライン講座を企画する際、「できるだけ多くの人に届けたい」と考えるのは非常に自然なことです。
自分の知識や経験が誰かの役に立つのであれば、初心者から経験者まで、あるいはこれから始めようとしている人まで、幅広くサポートしたいと願うのは作り手としての純粋な想いでしょう。
ただ、その思いのままに対象を広げすぎてしまうと、講座を紹介する言葉も、どうしても広くて無難なものになりやすくなります。
たとえば、告知文を書こうとして「初心者にも経験者にも役立ちます」とまとめてみたものの、どこか決め手に欠けると感じることがあります。
届けたい相手を広く考えるほど、かえって言葉がぼやけてしまうことがあるためです。
その結果、本来届くはずだった相手に「自分に向けたものだ」と感じてもらえなくなることがあります。
この記事では、ターゲットを広げすぎることがなぜ伝わりにくさに繋がるのか、その理由とターゲットを絞ることの本当の意味について整理していきます。
「誰にでも役立つ」は、誰にとっても「自分ごと」になりにくい
まず、ターゲットが広すぎるときに、受け手の心理にどのような影響を与えるのかを考えてみましょう。
講座の内容そのものが優れていても、受け手が「これは自分に関係がある」と直感できなければ、その価値は伝わりません。
買い手は内容の良さよりも先に「自分向けか」を判断している
オンライン講座の案内を目にしたとき、最初から細部まで読み込んでくれる人は稀です。
多くの場合、まず「これは今の自分に必要なものか」という直感で判断を下します。
対象が広すぎると、受け手は「自分の状況に当てはまるかどうか」を自ら探らなくてはなりません。
この「自分で考える」という負担があるだけで、内容を深く知る前に興味を失ってしまうケースが少なくないのです。
悩みの表現が具体性がないと、解決の必要性が伝わりにくい
「自分らしく働きたい」「スキルアップしたい」といった言葉は、方向性としては間違っていません。
しかし、抽象度が高いために、受け手が抱えている具体的な困りごとにまで響かないことがあります。
例えば「講座を作りたいけれど、カリキュラムの組み立て方がわからず手が止まっている」といった具体的な悩みとして言い換えることで、初めて受け手は「まさに自分のことだ」と感じることができます。
問題はターゲットの人数そのものではなく、言葉から「具体的な状況」が抜け落ちてしまっていることにあるのかもしれません。
つまり、最初に必要なのは魅力を増やすことではなく、受け手が自分の状況に重ねられる言葉に整えることだと言えそうです。
対象を広げるほど、講座のベネフィットが曖昧になる
次に、対象を広げることが講座全体の構成や価値の伝わり方にどう影響するのかを見ていきます。
異なる課題を抱える人を同時に追うと、ゴールがぼやける
初心者が求めている知識と、経験者が求めている知識は本質的に異なります。
未経験者は全体像を把握したいと考えますが、すでに活動している人はより具体的な判断基準や改善策を求めています。
その両方に応えようとすると、講座のゴール設定は「学べる」「身につく」といった、広い表現に寄らざるを得ません。
その結果、受講した後の自分にどのような変化が訪れるのか、具体的なイメージが持てなくなってしまいます。
伝えたい要素が増えるほど、重要事項が埋もれてしまう
ターゲットが広いと、作り手は「あれもこれも入れなければ」という心理になりがちです。
基礎知識も応用事例も、考え方も具体的な手順もと詰め込みすぎると、講座として何を伝えたいのかが見えにくくなります。
丁寧に作ろうとするほど、受け手からは「結局、何が一番の目玉なのか」が見えにくくなるという構造的な問題が発生します。
だからこそ、講座で何を扱うかを増やす前に、「受講後にどの状態まで持っていくのか」を一つに絞ることが大切です。
絞ることは、可能性を狭めるのではなく「届く角度」を決めること
最後に、ターゲットを絞るという作業をどのように捉えるべきかを整理します。
ターゲットを絞ることで具体的な場面が浮かび上がる
ターゲットを絞る際に大切なのは、属性(年齢や職業など)を細かく決めることだけではありません。
「その人が今どこで悩み、何に迷い、何が分からなくて手が止まっているのか」という内面的な状況に目を向けることです。
相手が今どんな状況にいるのかが見えてくると、講座の説明文にも具体的な場面を入れやすくなります。
完璧に一人に絞り切る必要はありませんが、相手の顔が見えるようになるほど、言葉の届く力は増していきます。
視点を一段階具体化するだけで、メッセージは劇的に変わる
例えば「オンライン講座を作りたい人」という広い設定を、「伝えたいことはあるけれど、構成を考える段階で止まっている人」と一歩踏み込んでみてください。
さらに「テーマは決まっているが、最初の1本でどこまで教えるべきか迷っている人」と具体化すれば、伝えるべき内容はより明確になります。
このように、絞る作業は可能性を減らすことではなく、まずその価値を届けたい相手を明確にするためのものです。
この視点でターゲットを見ると、講座の内容も告知文も、何を優先して伝えるべきか判断しやすくなります。
まとめ
ターゲットを広げすぎると、多くの人に向けたはずの講座がかえって誰の手にも届かないものになってしまうリスクがあります。
それは、受け手にとって「自分のための講座だ」という感覚が薄れ、講座の価値やゴールが見えにくくなってしまうからです。
「絞る」とは、届ける相手を減らすことではなく、必要な人にしっかり届く伝え方を決めることです。
自分一人で考えていると、つい視野が広がりすぎてしまうこともあります。
そのようなときは、誰かと対話しながらターゲットや言葉を整理することで、講座の輪郭がよりはっきりと見えてくるはずです。
具体化の手順まで整理したい場合は、関連する記事もあわせて読むと、次に考えたいことが見えやすくなります。
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